ステルスとSIM2の反発係数が、驚きの実測結果だった件

ステルスとSIM2の反発係数を、某ゴルフショップさんが手持ちのヘッドを用いて、実際に測定した結果を公開されていました。

反発係数はドライバーの飛距離に最も影響を及ぼす因子であるため、人気メーカーの最新モデルと1つ前のモデルでどれぐらいの差があるのか、とても気になるところです。

動画削除を覚悟でyoutubeで公開されていまして、もしかすると本当に削除となる可能性もあるかと思いますので、記録の意味でも取り上げます。

ステルスとSIM2の反発係数について、実測結果を公開している動画

こちらがテーラーメイドのステルスとSIM2のドライバーヘッドについて、反発係数を実測した結果を公開している動画です。

まず反発係数(COR)についてですが、文字通りドライバーヘッドのフェース面の反発性能を数値化したもので、数字が大きい程、反発性能に優れていることを意味します。

ゴルフ業界では2008年に反発係数の制限が設けられ、0.830を上限とすることが決められています。

実際のツアープロの試合では抜き打ちで検査されることもあります。実際に国内の某メーカーのモデルがルール上限を超えてしまったかとから、ルール不適合になったこともあります。

今回取り上げた動画では、ステルス、SIM2の全3機種のドライバーが測定されています。

ステルス、SIM2の反発係数の測定結果

動画をアップされているゴルフショップさんのお手持ちのヘッドで計測した結果でして、個体差があることは予め念頭に置いておいてくださ。

▼ステルス・SIM2の反発係数

モデル CT値 反発係数
SIM2 MAX-D 244 0.8244
SIM2 MAX 252 0.8279
SIM2 251 0.8274
ステルスHD 179 0.796
ステルス 160 0.7878
ステルスPLUS 189 0.8004

こちらがステルスとSIM2のそれぞれのドライバー全3機種について、反発係数を測定した結果です。

CT値というのは、ヘッドに鉄の球を振り子でフェースに衝突させ、その時のフェースとの接触時間を計測したもので、これから反発係数(COR)が算出されます。

そのため、反発性能を表す時は、測定したCT値で語る時と、そこから算出した反発係数(COR)で語る場合があります。

なお、反発係数が0.001違うと飛距離は1ヤード違い、CT値で言うと2違うと1ヤード違うと言われています。

それでは、ステルスとSIM2の反発係数に話を戻しましょう。

まず、ルール制限については、反発係数(COR)のルール上限は0.830で、CT値に換算すると257となりますので、これを踏まえてご覧になってみてください。

まず驚くのは、SIM2は概ねルール上限に近い250前後なのに対して、ステルスは175前後で、バラツキも大きい上に200にも達していません。

「この測定結果は、間違ってるんじゃないか?」

そんな疑問が湧いてきそうですが、どうしても低い結果しか出ないとのことです。

計算上では、ステルスは30ヤード以上も飛距離が落ちる

驚きの測定結果ですが、測定結果を改めて整理してみると、SIM2の3機種の平均が249、ステルスの3機種の平均が176となります。

その差は73となります。

CT値は2違うと1ヤード違うと言われていますので、これで飛距離差を算出してみましょう。

73 ÷ 2 = 36.5ヤード

SIM2からステルスになると、飛距離が30ヤード以上も落ちるというのは、現実的には有り得ない話です。

もしこれが現実であれば、テーラーメイドの契約プロたちはステルスを使うはずがありませんし、ドライバー飛距離に大きな変化が出ているはずです。また、市場でステルスがバカ売れしている事実とも符合しません。

では、これはどういうことか?何が起きているのか?というと、フェース素材の影響が可能性の一つとして浮かび上がってきます。

反発性能の特定方法は、最新のゴルフクラブに対応していない?

ステルスのドライバーヘッドが、CT値で200に届かず、反発係数で0.8にも届かないというのは、これだけ広くステルスが使われていることを考えると、常識に考えて有り得ないことです。

そうなると考えられるのは、測定に問題があるということです。

実際、ステルスのドライバーフェースは、これまでにない新しいものが採用されていて、テーラーメイド社も、新たなゴルフクラブの領域に入ったことを強くアピールしています。

まず、一般的なドライバーヘッドのフェースには、チタンやステンレス素材が多く用いられます。

しかし、テーラーメイドは長年の研究開発の成果により、カーボンをフェース素材に用いることに成功しました。

そして、もう一つ注目したい点が、カーボンフェースの上の素材です。

カーボンフェースは、ドライの環境とウェットの環境で、スピン量に大きな差が出てしまうことから、その解決策としてナノレベルのポリマーコーティングをフェース表面に施してあります。

そのため、ペンデュラム測定器で金属を衝突させた時の反応が、一般的な金属フェースと比べると、異なったものになる可能性が予想と言うか懸念されます。

もう一度まとめてみましょう。

①ステルスのCT値は200以下で、バラツキも大きい
②でもツアープロや一般ゴルファーも問題無く使っている
③ステルスのフェース素材はチタンからカーボンに変更
④カーボン表面はポリマーコーティングされている

この事実から考えたくなるのは、

「ステルスの製法によるドライバーフェースは、現在の測定方法では現実的な反発性能を正確に数値化できないのではないか?」

ということです。

ゴルフボールでも、強い衝突(ウッド)と弱い衝突(ショートアイアン)で、発揮される性能に違いを持たせたものがあります。

もし、ペンデュラム測定器での衝突と、ツアープロが万振りする衝突で、ドライバーフェースが発揮する反発性能に大きな違いがあるとすれば、測定方法自体を進化させる必要があるかもしれませんね。

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