テーラーメイドのステルスシリーズのドライバー。低スピン性能に優れていると評価は上々です。
一方で、スピンが多く入るという反対の評価をされている動画があり、この真逆の結果が少し話題になっています。
その後、スピンが多く入る点について、弾道データを用いた追加説明の動画もアップされていて、なかなか興味深い内容になっていますので、取り上げてみます。
1本目:ステルスのスピン量を重心位置から解説した動画
こちらが、ステルスとSIM2を比較して、スピン量についてコメントされている動画です。
動画の中で、ステルスとSIM2の重心深度、重心高が公開されています。
モデル | 重心角 | 重心距離 | 重心深度 | 重心高 |
---|---|---|---|---|
ステルス | 25° | 43mm | 43mm | 31mm |
ステルスHD | 28° | 41mm | 42mm | 33mm |
SIM2 MAX | 26° | 41mm | 40mm | 28mm |
SIM2 MAX-D | 28° | 41mm | 39mm | 29mm |
ステルスのヘッド後方ウェイトは軽くなっていると聞いていましたので、ステルスの方が重心深度が深く、重心高も高いという数値は、筆者が思っていたのとは真逆の内容で興味深いデータです。
こういった重心データを踏まえつつ、スピン量については、ステルスの方が入りやすいと解説されています。
ステルスシリーズのドライバーは、”低スピンが凄い”という評価が多いため、それとは逆の評価に対して、色々なコメントが寄せられていました。
一つ留意しておきたい点として、ゴルフクラブのスピン量を、単純に”多い”・”少ない”と判定するのは難しい面があることです。
と言うのも、スピン量の入り方は、ゴルファーのヘッドスピード、スイング軌道、身体能力などによって、大きく変わるからです。
簡単な例で言えば、同じゴルファーであっても、重心の上で打つか、下で打つかで大きく変わります。
ステルスのスピン量については、恐らく重心高が大きく影響していると思われるのですが、実際に動画の中でも、アッパーとレベルのスイングの違いによる影響について詳しく触れられています。アッパーの方は下打点になりやすく、ギア効果でスピンが多く入ってしまうという説明がされています。
色々なコメントが寄せられていますが、動画の中の説明は、とても納得できる内容だと思います。
2本目:ステルスのスピン量を70名の弾道データから解説した動画
こちらが、スピン量が多い件について追加でアップされている動画です。
70名の弾道データを用いて、スピン量について考察されています。
弾道データは、初心者~中級者、上級者の2つに分けて分析されていて、初心者~中級者ではスピン量が多い傾向にあり、上級者ではスピン量が少ない傾向にあるとのことです。
トータルで見ると、初心者~中級者のデータ量が2.5倍あるため、スピンが多い傾向という結果になります。
動画の最後での考察では、やはりスイングがアッパーかレベルかが影響しているようだと結論付けられています。
重心設計、実際の弾道データを用いて解説されている動画で、とても参考になる内容だと思います。
ただ、気になる点、もう少し詳しいデータを見てみたい点もあります。
気になる点1:最適なスピン量は、ヘッドスピードで変わる
2本目の追加動画では、スイング軌道から生じる打点の違いに着目していたことから、その傾向が表れやすい初心者~中級者、上級者という分け方で分析されています。
そして、スピン量が多い・少ないの判定は、~2000m/s未満が少ない、2000~2600(多分2700の間違い)m/sが適正、2700m/s~が多いという基準で行われています。
ここで注意したいのは、ヘッドスピードによって最適スピン量は違ってくる点です。もっと言えば、打ち出し角によっても最適スピン量は影響します。
一律で2700m/s以上はスピン量が多いと区分けされていますが、例えばヘッドスピード40m/sで打ち出しがやや低めでしたら、2700m/sではスピン量が多いとは言えず、筆者であればもう少しスピンを増やすか打ち出しを高くしないと不安です。
ヘッドスピードとスピン量の分布図を出してもらえると、さらに深くまで考察されたデータになりますし、このデータはもっているでしょうから、3本目の動画を期待したいところです。
繰り返しますが、動画そのものは、ステルスとSIM2の重心高の違いに着目して、スイングの違いが打点の違いを生み、それがスピン量に影響しているのでは?と考察されていて、とても参考になる内容です。
気になる点2:SIM2との比較
2本目の追加の動画で公開されていたスピン量の分布は、ステルスのみのデータです。
重心設計の値は、SIM2と比較されていて、スピン量が多い・少ないという話は、SIM2との比較のようにも取れます。
もし、SIM2とステルスのどちらがスピン量が多いかを評しているのであれば、SIM2の弾道データとの比較も見てみないと、どちらがスピンが入る方は評価しづらいと思います。
こちらも、3本目の動画でSIM2との弾道データの比較を行ってもらえると、SIM2からの買い替え、または、SIM2とステルスのどちらを買うかを悩む上で、とても参考になる内容になると思います。
まとめ
ステルスとSIM2について、どちらがスピン量が多いかを取り上げている動画を紹介しました。
スピン量は、一概に多い・少ないと言い辛い面があります。動画制作者はクラブフィッティングスタジオのため、このあたりのことは専門で良く熟知されていると思いますので、一概に述べるのが難しいのは承知しつつ、分かりやすさを優先した内容になっているのだと思います。
ステルスでも、スピン量が多くなる条件、ゴルファータイプがあるという一つの評価として、クラブ選びの参考になる内容だと思います。